木村拓哉の言霊|『ハウルの動く城』で宮崎駿の世界観を具現化した感性とセンス

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アニメ界の巨匠、宮崎駿監督が引退を表明してから数日。

ニュースを眺めていると、各作品への出演者からのコメントが続々と届けられていて、読みふけりながら、じんわりしたり、しんみりしたり、時を過ごしています。

あらためて実感することは、やっぱり宮﨑駿は偉大だということ。

そんな中、「ハウルの動く城」で新境地を開拓したSMAP木村拓哉さんのコメントが非常に印象深いものだったので、「ハウルの動く城」とともにご紹介します。

「ハウルの動く城」で主人公ハウルを演じた木村拓哉ならではの感性とセンス

自分の家のブラウン管の90%を監督の作品が占めている。
たくさんの夢世界をありがとうございました。
“ハウルの動く城”に、自分が参加できたこともとてもうれしかったです。今でも、森に風が吹くとトトロを気にする自分がいます。

いいなあ。この感性、そしてセンス。

宮崎監督の世界観と空気感を見事に表現しながらも、木村拓哉さんならではの感覚で紡ぎ出されているステキなコメントだと感じました。



何事においてもアンチはキラキラしたプラスを生み出すことが一生できない

アンチキムタクと呼ばれるひとたちは

やれキムタク演技だからどうこうだとか
⇒確かに俗に言う「キムタク演技」と指摘される木村さんのお芝居は、正直わたしも好きとは言えない……。

気取っててスカしているからどうこうだとか
⇒あれだけ周り中に気を遣うひともめずらしいと、真逆な印象で有名な事実は一生見て見ぬフリまっしぐら?

一般人、有名人問わず、それがさも有能で世の中わかっている的に、一生懸命に誰彼問わず批判しているひとたちは、なぜ無駄な労力を使い続けるのかな?と本気で心の底から不思議です。

その時々で誰かのアラ探しが趣味。結果的に1年365日アンチ人生に陥っているそんなひとには、一生かかろうがキラキラしたプラスは生み出せない。

自分の好きなものだけ語っていればいいじゃないですか。それができないなら、一生もうしゃべらないでほしいな(超本音)。



「ハウルの動く城」は宮崎作品ベスト3に入る、こよなく愛する映画

わたしは木村拓哉さん、そして宮崎駿監督が長年大好きです。

木村さんが主人公ハウルを演じた「ハウルの動く城」。この映画がツボど真ん中。宮崎作品ではベスト3に入るほど。

もともと木村拓哉ファンかつ宮崎駿ファンのわたしにとってたまらない作品だったため、映画館に3回足を運び、DVDまでソッコー手に入れたくらい(笑)。久しぶりのことでした。

宮崎作品ベスト3のうち、残り2作品のひとつが、不朽の名作「風の谷のナウシカ」。

もうひとつが、男性人気も高い「天空の城ラピュタ」。

本当は全作品、いずれも甲乙つけがたい。その中であえて、この3作品には特別な思い入れがあります。



木村拓哉色を打ち消し、見事にハウルを演じきったプロ姿勢

前述の、俗に言う「キムタク演技」。いわゆる「木村拓哉色」を見事に打ち消したことにより、新境地開拓が思う存分堪能できたこと。

宮崎監督を尊敬し続けてきたことが感じ取れるように、自然と作品に溶け込む姿勢で最初から最後まで臨んでいた、そんな木村さんのお芝居が本当に素晴らしかった。

初めて第一声を耳にした際、「……………誰これ??」と、本気で耳を疑ったほど(笑)。

これこそ、プロ魂、プロ姿勢です。



風を感じ空気を纏う人間本来の幸せを思い起こさせてくれる

「風を感じ、空気を纏う」。人間本来の自然との戯れであり、回帰する世界観、空気感を感じることで、記憶の奥底に眠る幸せを思い起こさせてくれる。

ふとした風の心地良さや空の美しさ、疾走感は、宮崎作品に共通して流れている空気ですが、ハウルの場合、主人公ハウルの繊細さとあいまって独特なそれを生み出しています。

余計な装飾がいらない風景。過不足がないものはなにより心に残るんだな、と。

加えて、これも宮崎作品共通事項ですが、食べ物が本当に美味しそう!

ハウルでは、愛らしいマルクルやカルシファーが登場する場面、お城のキッチンで作られたベーコンやパンや卵焼き。なんであんなに美味しそうなんだろう……あれ食べたい……と、目にするたびに実感します(笑)。

新たな世界を導き、ポテンシャルを引き出しあった珠玉の作品

木村さんが持つ独特の繊細な感性が、宮崎監督が描く世界観と空気感に見事にマッチし、木村さんが宮崎監督の新たな世界を、宮崎監督が木村さんのポテンシャルを引き出し、「ハウルの動く城」は完成した。

初めて観たときに感じたことですが、今でも変わりません。繊細な輝きを放つ珠玉の作品。

多くの心を震わせる作品を生み出してきた宮崎監督には「今まで本当にお疲れさまでした」、それから「また描きたくなったら好きなだけ描いてほしいです」と、正直に感じつつ。

偉大なるチャーミングな巨匠に、スタンディングオベーションと賛辞を贈ります。

宮崎駿監督、本当にありがとうございました。