2023年3月11日|「国を変えるのは国民の想い」東日本大震災から13年目に想う

東日本大震災の犠牲者をしのび、メッセージを書き込んだ風船を飛ばす人たち=宮城県名取市で2023年3月11日午後3時3分

2023年3月11日。

穏やかな日差しに恵まれた東京は、1年前と変わらず暖かな1日。ニュースに目を移すと、やはり今日もマスク姿の人があふれかえっている。

変化といえば、2日後の13日(月)からようやく日本でもマスク着用が個人の判断に委ねられること。家族や恋人、友人や同僚と笑ったり涙する時間に快適さが戻ってくる。またひとつ、コロナ後の自由を獲得したといえるだろう。

午後2時46分。12年前の今日に想いを巡らす。

「また1年、経ったんだな」と、この1年間の歩みを振り返るたいせつな時間でもある。

1年前と同じように、ふとつぶやく、「今日の東北の様子はどうだろう?」。

あれから幾度となく繰り返してきたが、きっと日本中の多くが、同じ想いで現地の人々の健やかな毎日を願っている。

再び、あれから1年。そして、発生から12年。

1年前と同じように実感する、「まだ12年」。

変わりゆく景色と、変わらないこころを持つ人々の幸せを願いながら、今年も首都・東京で産声をあげた東京人として、強く誓う。

東北地方を中心に日本を襲った東日本大震災発生から12年が経った今日、想いを寄せながら感じること。

最大震度7を記録した戦後最悪の自然災害から12年

東日本大震災から12年を迎え、新しく建設された防潮堤で発生時刻に黙とうする人たち=岩手県宮古市田老で2023年3月11日午後2時46分

画像出典:毎日新聞

日本国内の観測史上最大となるマグニチュード9.0、最大震度7を記録した東日本大震災が発生したのは、12年前の2011年3月11日のこと。

この地震の影響により、建物の倒壊が相次いだだけでなく、東北地方沿岸部を中心に巨大津波が甚大な被害をもたらした。

死者・行方不明者は2万2212人(2023年3月9日現在)。戦後最悪の自然災害だ。

たいせつな存在を失った多くの人々は、いまもなお、在りし日の記憶とともに毎日暮らしている。

いつまでも芝居が上達しない三文役者に等しい政治家

福島県の「東日本大震災追悼復興祈念式」に出席し、追悼の言葉を述べる岸田文雄首相=福島市のパルセいいざかで2023年3月11日午後3時

画像出典:毎日新聞

あの日以来、当時内閣総理大臣を務めていた菅直人氏を筆頭に、歴代首相がお決まりのように口にするセリフがある。

「復興・再生に全力を尽くす」

さて、果たしてこれは真実だろうか。

どこまでも白々しく、いつまで経っても芝居が上達しない三文役者のようにしか見えない。そう思わせてしまった時点で失格ではないだろうか。

民衆の力には限界がある。なぜなら災害対策を含めた国家運営を行うことは不可能だからだ。

そこでわたしたちの代わりに、国の政を取り仕切る代表者として政治家に託す。つまり彼らはわたしたちの意思を汲んで選ばれた精鋭でなければならない。当然のことながら、高い倫理観や健全性・公平性は必須だ。

ところが、現実はどうだろう。あいも変わらず復興は滞り、あろうことかあらゆる手を駆使しながら己の懐に血税を溜め、使い込むといった暴挙が後を絶たない。

要は“我田引水”だ。透明性が高い現代社会において、最も醜く、侮蔑される生き方である。

「復興・再生に全力を尽くす」

古い表現だが、出来の悪い壊れたテープレコーダーのようだ。

「政治家と芸能人は似ている」の指摘に納得した理由

福島県の「東日本大震災追悼復興祈念式」で若者のことばを述べる会津高校の(手前から)高橋桜さん、渡辺隼太朗さん、林文子さん=福島市のパルセいいざかで2023年3月11日午後3時43分

画像出典:毎日新聞

こうした政治家……というより“政治屋”の姿を通し、すべてではないという前提で「日本の政治家と芸能人はよく似ている」と指摘する識者も少なくないと聞く。

言われてみるとそうかもしれない。

どちらも社会貢献や社会還元の意識が欠如し、特権階級であることをことさら喧伝する癖が酷似している。己の欲得に忠実で、災害すらもファッションアイテムや好感度上げのツールとしか捉えていない醜悪さが透けているのもそっくりだ。

「強さと美しさを兼ね備えている。よって普通の人間ではない」とうそぶくが、それは間違っても強さでも美しさでもない。「羞恥心の無さ」であり「社会人として大切なものが欠落した愚かさ」である。心理学でいう「共感性欠如」と断言してもよい。

特殊な世界でしか通用しない常識にとらわれた人間は、業界を問わず同じ道を辿るのかもしれない。社会を荒らすどころか、無駄な諍いばかり起こし、他者を踏みつけながら攻撃を繰り返す生産性のない人種は、実によく似ている。

そういえば政治家が乱痴気騒ぎを起こすパーティーとやらには、必ずといっていいほどお飾りとして芸能人が招かれている。思えば桜を見る会もそうだった。あらためて「なるほど」と納得した次第である。

そんな程度の低い悪質で愚鈍な生き物に成り下がるくらいなら、わたしは一生普通で結構だ。普通のなにが悪い。

政治への不満があるのに選挙に行かない不思議な国民

福島県の「東日本大震災追悼復興祈念式」祭壇=福島市のパルセいいざかで2023年3月11日午後1時36分

画像出典:毎日新聞

日本の政治が堕落している問題に話を戻そう。

これは個人的な意見、かつすべてに対してそうだと思っているわけではないという前置きとともに「日本の政治家を暴走させているのは国民だ」と訴えたい。

その根拠は、投票率だ。総務省が発表した選挙結果に関する資料にもとづいて紹介したい。

国政選挙の投票率は、令和3年10月に行われた第49回衆議院議員総選挙では、55.93%、令和4年7月に行われた第26回参議院議員通常選挙では52.05%となっています。

総務省

……冗談かと目を疑いたくなる結果である。

毎日のように政治に対する不満が吹き荒れているにもかかわらず、わたしたち国民にとって唯一意思を表明できる選挙という貴重な機会に、実際に投票に行ったのは55.93%と52.05%というのは一体どういうことなのだろうか。

参考までに、こちらのリンクをご覧いただきたい。主要先進国の世代別投票率をまとめた文部科学省の資料だ。

諸外国における世代別投票率|文部科学省

笑ってしまうほど違いすぎる。どの国も抱えている内情は深刻で、だからこそ真剣な面持ちで政治に参加する姿が見えてくる。

自由を標榜しながら、ただ単にまとまりがなく年中争いが絶えないフランスだけが日本とどっこいどっこいだが、やたらとフランスかぶれの日本人がこんな情けなさばかり真似ているというのなら、もはや言葉がない。草も生えないとはこのことである。

東日本大震災を本気で「我が事」と思えたら変わる国

東日本大震災で宮城県名取市の実家が被災した人から依頼を受け洗浄された写真=大阪府豊中市で2023年3月11日

画像出典:毎日新聞

東北地方を中心に襲った東日本大震災は、誰にとっても「我が事」である。なぜなら災害は他人事ではないからだ。いつ誰の身に起こってもおかしくない。

同情でも偽善でもなんでもなく、この「他人事ではない」という意識を本気で持てたとき、初めてお互いにこころから支援しあえるのではないだろうか。

政治への不満や憤りもそうだ。これだけ散々好き放題やられてきて、なのに国民の権利を力強く発動できる選挙という貴重な機会に動かなければ始まらない。

「どの政治家にも期待できない」と嘆く気持ちはわかるが、それでもなにもせずにいるだけなら変わることはないのだ。あなたのそのやりきれない現実は、いつまで経ってもくすぶったままである。

国を変え、国を守るのは、旨みを吸いながらでかいツラを晒し、高みの見物がやめられない醜い政治家でも著名人でもない。わたしたち、一人ひとりの国民だ。

東日本大震災からの復興も、全国各地の災害への対策も、凄惨な事件の防止や抑止も、すべて国を変えるところから始めなければならない時代がやってきている。のほほんと指を加えて眺めているだけの人間は、もはや大罪を犯しているといってもいい。

せめてここからの1年、まずはできるところから考え、そしてなにかしら動いてみてほしい。その大前提である「“我田引水”は誰にとっても害悪である」という当たり前の社会の在り方のもとに。

もちろんわたしもずっと変わらず、というよりこれからもさらに進化をやめず続けていきたい。震災復興への活動も、社会貢献へのはたらきも。

今年も変わらず、気高く聡明に生きる決意とともに

東日本大震災の犠牲者をしのび、メッセージを書き込んだ風船を飛ばす人たち=宮城県名取市で2023年3月11日午後3時3分

画像出典:毎日新聞

さて、今年も1年前の記事の結びを振り返っておこう。

「今年も変わらず、常に真っ当な精神で生きる」

そう、違いない。そして、それは今年もやっぱりそうだ。

わたしは、愚鈍な罪深き者とは、一生決別する。穢れなき魂を持ち、たとえば被災地にもきちんと寄り添える本物のこころある人間さえいれば、もうそれでかまわないから。

「自分だけではなく、人のためにも動き、かつ気高く強く優しくあるための聡明な精神」を、これからも決してなくさない。

歪んだ愚かさとは相容れないと言い切れるわたしだからこそ、一年前と変わらず、そしてこれからの一年後も変わらず、現地に寄り添うことを忘れないよう、強く強く、願っている。

現地のみなさんにとって、過去や未来ではなく、毎日の「今日」という日が、どうか最良の日でありますように。