2020年3月11日|「日本人が試されている」東日本大震災から10年目に想う

東日本大震災発生から9年経過した2020年3月11日、宮城県名取市の震災メモリアル公園上空にかかった虹

2020年3月11日。

数日ぶりの快晴となった東京の空を見上げながら、なにげなくつぶやいたのは、「今日の東北の様子はどうだろう?」。

あれから幾度となく繰り返してきた言葉。きっと日本中で多くの人が、同じように想いを巡らせていることでしょう。

日が暮れ、ウェブニュースに目を通すわたしの前にあらわれたのは、午後2時46分過ぎに宮城県名取市の震災メモリアル公園上空にかかった大きな虹。

なぜだかわけもなく涙が出ました。現地の女性が犠牲者を悼みながら口にした「こうやって渡ってきてくれたんだね」との想いに触れながら。

再び、あれから1年。そして、発生から9年。

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1年前と同じように実感する、「まだ9年」。

変わりゆく景色と、変わらないこころを持つ人々の幸せを願いながら、今年も首都・東京で産声をあげた東京人として、強く誓います。

東北地方を中心に日本を襲った東日本大震災発生から9年が経った今日、想いを寄せながら感じること。

東日本大震災追悼式を中止にさせた新型コロナウイルス

東日本大震災発生から9年経過した2020年3月11日、荒浜海岸近くにある東日本大震災犠牲者の名前が刻まれている碑に手を合わせる男性

予想もつかないことが起こる。

東日本大震災が発生した2011年3月11日以前にも、以降にも、そんな忸怩たる思いを抱えたことは一度や二度にあらず。

とりわけ今年は、「まさかこんなことが現実に起こるだなんて……」。呆然とし、ゴールが見えない日々のなか、混沌に飲まれないよう、つとめて冷静に、理性的に過ごすことに。

参考 新型コロナウイルスの世界的流行は、どんな状況になれば「パンデミック」と呼ばれるのか?|WIRED.jpWIRED.jp

WHOをはじめ各関係機関は決して認めないとはいえ、もはやパンデミックと呼んでも差し支えない、世界中が病魔と不安に苛まれる新型コロナウイルスの世界的流行。

日本でも多くの感染が確認され、その何倍もの無症状病原体保有者が発生しているとの見解が示されています。

いまだ世界のどこにも有効な対抗策が見いだせない敵との闘いは、ひとまず大人数が集まる娯楽施設やイベントの休業・中止・延期という対応でしのぎながら、なんとか抑え込みにかかっているのが現状です。

東日本大震災発生から9年経過した2020年3月11日、福島県主催の東日本大震災追悼復興祈念式に臨む内堀雅雄知事ら5人の参列者

その中止や延期、規模縮小での開催となった行事のひとつが、東日本大震災の犠牲者の追悼式。

参考 東京新聞:<東日本大震災9年>3・11追悼式 政府中止 被災3県でも中止・縮小相次ぐ:政治(TOKYO Web)東京新聞 TOKYO Web

上記記事に、現地の市の担当者の「追悼式には、震災の記憶を引き継ぐ意味合いがある。風化が指摘される中で、開催内容を変更せざるを得なくなったのは残念だ」との本音が掲載されていました。

こんなにやりきれない気持ちになったのは震災発生時以来かもしれません。「決して風化させてはいけない」と多くが危機感を持つなかで、こんな形で無念を抱えることになる現地を想像するだけでやり場のない怒りがこみあげてくるからです。

人の命と健康を優先させれば最悪の事態は防げる

東日本大震災発生から9年経過した2020年3月11日、福島県浪江町棚塩にて行方不明者の手がかりを捜す県警の捜査員たち

こんな事態だからこそ、幾度となく繰り返し反芻します。

人間にとって、一番たいせつなことってなんだろう?

お金がないと生きていけないし、家族や仲間、友だちといった人間関係だって大事。好きなことをして人生を謳歌したいし、なるべく多くの知らない景色を見に行きたい。

でも、それってすべて、命があるからこそできることでは?

確かに今夏、世界的なビッグプロジェクトである夏季オリンピックを控えているとはいえ、もっともたいせつにしなければいけないのは人の命と健康ではないでしょうか。

これまで数多くの直下型地震を経験し、そのたび復興へと歩みを進めてきた地震大国の日本だからこそ、本来であればそれは当たり前の意志であるはず。

参考 なぜ日本は地震大国なのか?その原因と対策を探る | ビジネスコラム | NTTファシリティーズNTTファシリティーズ

にもかかわらず、世界恐慌につながりかねない、パンデミックレベルの新型コロナウイルス蔓延を水際で食いとめる対策をことごとく放棄した世界各国の代表者やWHOに対する怒りにも似た苛立ちと出くわすたびに、本音がこぼれます。

なぜ、一番たいせつにしなければいけない命を優先しないの?なぜ、己の欲得や保身を優先するの?命を優先にしていれば、防げることだってあるんじゃないの?と。

防げた人災を防がない欺瞞ほど愚かなものはない

東日本大震災発生から9年経過した2020年3月11日、宮城県名取市閖上の「閖上の記憶」に集まり黙禱する住民たち

東日本大震災以降も、日本では多くの天災や人災が起こりました。ところがその事態に反し、現場の慟哭を無視するかのように教訓を活かさない組織が目につきます。

日本中が、その迷走になんの意味があるだろう?との疑問を抱くのは当然ではないでしょうか。

まして当事者であればあるほど、張り裂けそうになるやるせなさと対峙せざるを得ない。

誤解を恐れずに言えば、新型コロナウイルスの蔓延は人災です。

だからこそ、風化が懸念されている東北各地の焦燥感に触れるたびに、新型コロナウイルスにより通常通りに追悼式すら行えなくなってしまった現実にも、焼けつくような痛みを覚えます。

ただでさえあれから怒りや憤り、悲しみや切なさを拭えずに生きてきた多くに、これ以上なにを課すというのだろう。

参考 新型コロナウイルスの感染拡大を招いた原因は、中国での情報統制による「初動の遅れ」にある:現地レポート|WIRED.jpWIRED.jp 参考 批判呼ぶテドロス事務局長の「中国擁護」 背景にWHOと中国の蜜月の仲(1/3ページ) - 産経ニュース産経ニュース 参考 今さら!水際、中国全土を対象──習近平国賓来日延期と抱き合わせ | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイトNewsweek日本版

無性に情けなくなります。国家や国際機関の代表者が雁首揃えてこれかよ。あなた方はご自分がなんのための代表かわかっているのだろうか?と。

権力者ではなく日本人ひとりひとりが育んだ国民性

東日本大震災発生から9年経過した2020年3月11日、宮城県名取市閖上の「閖上の記憶」の前から風船を飛ばす住民たち

上が頼りなく、ヘマばかりやらかしなにひとつ使えず愚鈍だと、下が育つ、とはよく言ったもの。

とはいえ、上がしっかりしてくれないことには、いくら下々の庶民が知恵を出し合い踏ん張ろうが、ことごとく足を引っ張られ最悪の事態が延々続くだけで限界が訪れるのですが、それはそれとして。

参考 東京新聞:<ふるさと胸に 東日本大震災9年>(下) 憩いのカフェ 避難者が支え合う:埼玉(TOKYO Web)東京新聞 TOKYO Web 参考 東日本大震災から9年 当時のコメントから読み取る心境の変化 - ウェザーニュースウェザーニュース 参考 3.11 TOHOKU 応援はつづく ~忘れない、あの日を。つなげよう、未来へ。 | 企業情報 | ソフトバンクソフトバンク 参考 アサヒグループ 東北復興応援 ともに、未来へ 〜2020〜 | サステナビリティ | アサヒグループホールディングスアサヒグループホールディングス

上記はほんの一部ではありますが、現地の住民同士、あるいは現地とそのほかの地域での支え合いの輪が途絶えていない朗報は、こんな時期だからこそ伝えていくべきだと感じています。

傷ついた人を癒せるのは、そう、人だけ。誰もがみんなお互いさま。我が我が、ではなく、少しずつ支え合い助け合う。

いま再び、日本人ひとりひとりの人間性が試されているような気がしています。

東日本大震災発生から9年経過した2020年3月11日、仙台市若林区荒浜の海岸に集まった人たちが一斉に風船を飛ばす様子

わたしたちは世界中のどこの国にも負けることがない、胸を張って世界一を名乗れる国民性の持ち主のはずです。東日本大震災発生時、あらためて世界から驚きとともに称賛されたその実績を色褪せさせてしまうのは、日本人としてあまりにも愚かではないでしょうか。

幼いころからこれまで、いまだに慟哭が耳から離れないほど、もがき悔やみながらこの世を去った多くの生死に携わってきたわたしだからこそ、断言できることがあります。

亡くなった人は帰ってはきません。でも、その生きた証として彼らの想いを片時も忘れず、残された人間たちが助け合いながら勇敢に歩むことで、彼らはともに生き続ける、と。

わたしは誰よりも人間の可能性を信じています。世界中が混迷しているいまだからこそ、「忘れない」「支え合い」を日本人が率先して行うべきです。

本来、世界一を誇る国民性を宿したわたしたちだからこそ、実はきっと、むずかしいことではなく、容易いはず。

ご参考までに、被災地と復興の現状をまとめた、復興庁発表のデータはこちらです。より多くの地域の方々が東北の現実を知り、お互いに考え、行動することができますように。

参考 東日本大震災から9年:被災地と復興の現状 | nippon.comnippon.com

今年も変わらず、真っ当な精神を失わず生きる

東日本大震災発生から9年経過した2020年3月11日、福島県いわき市の平中央公園にてカップに復興の願いなどが書かれたロウソクを見る住民たち

今年も変わらぬ想いを抱きつつ。

わたしは、愚鈍な罪深き者とは、一生決別します。穢れなき魂を持ち、たとえば被災地にもきちんと寄り添える本物のこころある人間さえいれば、もうそれでかまわないから。

「自分だけではなく、人のためにも感じ、動くことができる姿勢」を、これからも決してなくさない。

歪んだ愚かさとは相容れないと言い切れるわたしだからこそ、一年前と変わらず、そしてこれからの一年後も変わらず、現地に寄り添うことを忘れないよう、強く強く、願っています。

現地のみなさんにとって、過去や未来ではなく、毎日の「今日」という日が、どうか最良の日でありますように。