【2015クラブW杯】魅せたバルセロナ!カタルーニャを背負う者が宿すバルサイズム

間違いなく前世はドイツ人だろう(真顔)」というほど、ドイツ代表チームを愛しつづけるサッカーファン歴をもつわたしの「長年愛しつづけてきたクラブチーム」。

同じく「やっぱりカタルーニャになにか深いつながりでもあるんじゃないか?(真顔)」と自問自答したいくらい、世界的大人気だからではなく、物心ついた頃から、ドイツ代表より先に自然と惹かれるように。

それが、FCバルセロナ。

先日、日本で行われたFIFAクラブワールドカップ2015にて、前評判を裏切ることなく王者の座についたバルセロナは、「サッカー=フットボールの楽しさ」を余すことなく魅せてくれました。

世界最強の布陣。ため息すら漏れるほど「勝つためだけに闘う」バルサイズム

世界最強の布陣」「現代サッカーの最高峰」「世界で最も美しいサッカーの体現者

バルセロナを賞賛する言葉には、「世界最強」「最高峰」「美しい」といった類いが並び、事実、言葉通りの華麗なるサッカーを魅せるチームとして広く知られています。

強いだけにあらず。美しいだけにあらず。

今回のFIFAクラブワールドカップ2015決勝戦。バルセロナを止めるためならどんな手でも使う」とばかりのファール連発に見舞われた一戦。ヒヤリとさせられる場面も幾度となく訪れた90分。

ところが、こうした相手の出方、あるいは相手の御し方に「慣れている」「日々、シビアな現実と向き合っているバルセロナにとって、一瞬たりとも怯む理由になどなり得るわけがなく。

ひと言でいうのであれば「勇ましい」「頼もしい」。ため息すら漏れるほど「勝つためだけに闘うバルサイズムが在りました。見惚れてしまうとはまさにこのこと。


バルセロナの本当の凄みは「プライドにかけて負けるわけにはいかない」ギアチェンジ

勝ち方を知っている」というより、「負けるだなんてありえないギアチェンジ手法。明らかにギアが変わった瞬間がわかるのが、実はバルセロナのおもしろさのひとつ。

バルセロナの強さは「抜きどころを知っている」=「ここぞというときになにがなんでも絶対に負けない」。

長いシーズンを闘う上で、バルセロナといえども、抜いた試合やプレイも当然のことながら存在します。もちろん「負けるつもりなんていっさいない」大前提で(まれに負けることもあるけれど)。

ただ、バルセロナの本当の凄みは「バルセロナのプライドにかけて負けるわけにはいかない」と、ギアが変わった瞬間、剥きだしの野性でいっさいの手を緩めることなく闘いつづけることをやめない。あのバルセロナが。

逆にいえば「これこそがバルセロナ」。ゾクゾクする本能。バルセロナのサッカー綺麗にコーティングされたモノにあらず。我を忘れたり、一気に熱を帯びたり、涙があふれたり。感情を揺さぶる本能の美しさです。


「サッカーは心から楽しいモノ」ワクワクした想いを都度蘇らせる美しいサッカーの体現者

同決勝戦が行われたのは、奇しくも、一昨日記したボルシア・ドルトムント年内最終戦の翌日。

ボルシア・ドルトムント2015年最終戦を記さない理由と、ユルゲン・クロップの変わらない凄みと清々しさとやさしさ

なんのためにサッカーを観てるんだっけ?」と、ふと疑問に感じたほど、なにかがブチンと切れ、イミのわからないストレスに陥ったわたしをわずか数分で救ってくれた。それがあの日のバルセロナでした。

モヤモヤしたストレスが見事に吹き飛んでしまったほど、序盤から勝ち気にあふれたその姿に、「だからバルセロナが好きなんだ。このチームと出会ったからサッカーを好きになったんだ」と、原点が自然と蘇ったくらい。

サッカーは心から楽しいモノ」というワクワクした想いで彩られた原点の記憶。あれからずっと変わることなく「サッカーは心から楽しいモノ」でいられるワケは、バルセロナが都度蘇らせてくれるから。

この世にこんなに美しく楽しいモノが存在するなんて、奇跡みたいだ」と。「世界で最も美しいサッカーの体現者」に感謝したくなる瞬間。


対極を有する本物のバルセロナ。リーガ・エスパニョーラ、チャンピオンズリーグをご覧あれ

もし、今回の、あるいは毎回、クラブワールドカップでしかバルセロナを観たことがないひとがいるとしたら、それはあまりにももったいない。なぜなら、バルセロナの魅力の半分も知り得ていないから。

せっかくなので、ぜひこの機会に、スペインリーグのリーガ・エスパニョーラや、ヨーロッパクラブNo.1を決めるチャンピオンズリーグなど、もう少し「ホームグラウンド」にまで興味をもってほしい。

そこには、クラブワールドカップで魅せた以上の、美しくも激しく、剥きだしの野性味あふれながらも凛々しい、そんな対極を有するバルセロナが存在しています。

これこそまさに、「現実に魅せる夢のような世界」。


「カタルーニャの歴史をも背負う確固たる覚悟を宿した人間の集まり」それがバルセロナ

今回、あらためて「サッカーの楽しさ」を魅せてくれたバルセロナ。

その強さのヒミツはなんだろう?」「あのメンタリティはなぜ身にまとえるんだろう?

確かに、「世界トップクラスの選手が集うチームだから」は当然のこと。とはいえ、わたしの場合、長年観てきているからこそ、それだけではないこともよく知っています。

バルセロナファンと語り合う中でというより、バルセロナに興味をもった友人たちに話をしている流れで、あらためて気づきました。

カタルーニャの歴史をも背負う確固たる覚悟を宿した人間の集まりだから

弾圧から力強く復活したカタルーニャの象徴。「イムノ」に込められた多くの想い

カタルーニャとは?コチラをご参考までに。

カタルーニャ州|Wikipedia

バルセロナ独立?日本が知らないスペインが抱える民族問題とは

バルセロナ:基礎中の基礎

弾圧の悲しい歴史をもち、そこから力強く復活したカタルーニャ州の象徴として愛されつづけるバルセロナは、単なるクラブチームというより、選手の意志を超えたところでプロパガンダに使われることすらある存在。

バルセロナアンセムである現在の「イムノ」誕生は1974年。1970年代といえば、スペインはフランコ軍事独裁政権の統治下。試合前に流れるあの歌には、カタルーニャの多くの想いが込められています。

バルサ・イムノについて

他クラブチームには存在せず、バルセロナに存在する意志の強さ「バルサイズム」

バルセロナの勝利は「サッカーの試合に勝った」以上の悲願であり、カタルーニャのすべての想いを背負いながらピッチに立つのがバルセロナイレブンであり。その意志の強さは「バルサイズム」。

よく繰り返される「バルセロナは模範となる存在でなければならない」。他クラブチームより、強くはっきりとした意志をもって規律を重視するワケは、バルセロナが「サッカーチーム以上の存在」だから。

他クラブチームなら許されても、バルセロナだからこそ許されない。想像を絶するプレッシャーとの闘い。あのピッチに立つということは、そんじょそこらの覚悟では吹き飛ばされてしまう。

そう、他クラブチームの選手には、決して許されない聖域。

なにかを背負った人間が、背負う覚悟を負ったこともない人間に負けるわけがない

世界トップクラスの才能や技術を擁するプレイヤーなら、バルセロナのユニフォームに袖を通すことが許されるわけではありません。バルセロナの一員になるということは、カタルーニャを代表するということ。

壮絶なプレッシャー。中途半端な覚悟ではいっさい通用しない世界。と同時に、それは「ブレない強さ」。なにかを背負った人間が、背負う覚悟を負ったこともない人間に負けるわけがない。

カタルーニャの歴史という観点からバルセロナを捉えてみたことがないひとは、そうした角度からもバルセロナに想いを寄せてみてください。きっと、バルセロナの揺るぎない強さや気高さの本当の理由に気づくはず。

絡まるように存在するさまざまな歴史や政治的背景。背負いながら、なおとびきりの最高の笑顔で気持ちよくゴキゲンに笑う。人間心理で考えてみても、こんなチームがそうそう崩れるわけがない。

強く気高く、多くのひとに寄り添いながら歩みを止めない美しき王者・バルセロナ

バルセロナが奇跡的なチームと呼ばれるのは、「強さ」が単なる「サッカーチームの強さという質とは比べものにならないほど超えているから。

世界最強と呼ばれつづけながら、長年にわたって驚くほどチームワークが良いのは、「サッカーで勝つ以上のブレない信念が存在しているから。

背負う覚悟を宿しながら、悲壮感など漂わせず楽しく笑いあうバルセロナがこの世に存在してくれることに、感謝せずにはいられない。まるで、人間の人生、生き様そのもののよう。

強く気高く、多くのひとに寄り添いながら歩みを止めない美しき王者・バルセロナ。

FIFAクラブワールドカップ2015優勝おめでとう。いずれの大会においても名実ともに優勝にふさわしいチームバルセロナが心から大好きです。