【webSportiva】広島カープOB山崎隆造が語る、黒田博樹・新井貴浩と若手の優れた信頼関係

赤ヘル軍団のリードオフマンとして、1990年代の広島カープ優勝を牽引した山崎隆造。一軍コーチ、二軍監督の経験をもつ、広島カープの御大ならではの視点で語られた記事をピックアップします。

2016年セ・リーグ優勝の陰に存在した、黒田博樹・新井貴浩と若手たちとの関係性。

後輩に目をかけ、成長を促す尽力を惜しまないと同時に、自身の向上も怠らないパワフルな先輩。上下関係なく先輩とも仲が良いながらも、目上として尊敬しながら素直に耳を傾けるヤンチャな後輩。

広島カープ、そして野球という競技に存在する「お互いに想いあう先輩後輩関係」が大好きです。

30代後半〜40代のベテラン20代〜30代前半の若手が、年齢の壁を軽く飛び越え、共闘する同志として、お互いが愛をもって尊重し、認めあうからこそ築き上げることができる信頼関係。大きな魅力だなあ、とあらためて実感しつつ。

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【webSportiva】91年V戦士が語る、カープ優勝を決定づけた黒田・新井と若手の関係

「前回優勝の91年を振り返ると、やっぱり津田恒美のことを思い出します。病と闘う彼に、優勝の報告をしよう、優勝旅行に連れていってやろう……。みんなその気持ちでまとまって、9月に首位に立っての優勝。あの年、僕は選手会長だったんですけど、本当に特別な優勝でした」

 そう言って、25年前の記憶をたどったのは山崎隆造氏だ。80年代から90年代にかけて走攻守揃ったプレーヤーとしてチームを支えた。引退後は一軍コーチ、二軍監督を長らく務め、現在は放送席からカープの戦いを見つめている。

 山崎氏にあらためて今年のカープの強さを聞くと、こんな答えが返ってきた。

「今年のカープは、投手力の充実はもちろんですが、打線は久しぶりに打順を固定できた。特に1〜3番は不動で、これによって攻撃の形ができ、落ち着いて試合をすることができました」

 1番・田中広輔、2番・菊池涼介、3番・丸佳浩。今季優勝決定までに、この3人のうちスタメンを外れたことがあるのは菊池のみで、それも2試合だけ。他球団との差は歴然で、残りの5球団のなかで1〜3番の定着率が高い巨人やヤクルトでさえも、24人を起用した。

「なかでも田中の存在が大きい。緒方(孝市)監督もキャンプ、オープン戦の中盤まで1番を決めきれていなかったのですが、そこに田中が定着できたことが大きい」

 オープン戦序盤は、2年目の野間峻祥(のま・たかよし)を積極的に試し、菊池を入れたこともあった。当初、田中は5〜8番を打っていたが、オープン戦中盤あたりから1番を任されると、期待に応え、不動の1番となった。

引用:webSportiva

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「田中と話をしたとき、本人が1番に対する意欲をすごく持っていました。走塁に関しても、決して足のスペシャリストではないけど、意欲的に取り組み、30個近い盗塁を決めた。そのあとを打つ”キクマル”コンビも今季は好調を維持。上位の3人が揃ったことが大きかったですね」

 現役時代は自らもその役にあった山崎氏は、攻撃の流れをつくる1、2番の重要性を熟知している。スピード感のある3人を上位打順に配した結果、盗塁数は9月10日の時点でリーグトップの109個(2位のヤクルトに35個差)を記録している。山崎氏は言う。

「今年のカープの攻撃を見ていると、相手が最も嫌がる1、3塁のケースが本当に多かった。この3人が今年のカープ打線を象徴していると言っても過言ではありません」

 続けて山崎氏が挙げたのは、ふたりのベテランだ。現在40歳の黒田博樹と39歳の新井貴浩。この投打の太くて強い柱が、今シーズンのカープを語る上で欠くことはできないと、山崎氏は言う。

「このふたりがチームの中心にしっかり立っているから、若手や中堅の選手がノビノビと自分の仕事ができる。手本となり、頼れるベテランがいることは、チームに有形無形の力を与えてくれます」

 では、具体的にどのような効果があったのか?

「投手でいうと、若い選手は勝つために常に100の力を出して完璧を求めようとする。でも、状態のいいときばかりではありません。そのなかでどう試合と向き合い、戦っていくのか。こういったところを若い投手たちは、黒田を見て学んだのではないでしょうか」

引用:webSportiva

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 その”黒田効果”の影響を受けたひとりとして野村祐輔の名前を挙げた。野村は2012年に新人王を獲得し、翌年も12勝をマークするも、ここ2年間は苦しんだ。だが、今季はここまで14勝3敗と、最大の懸案事項だった前田健太の抜けた穴を見事に埋めた。

「『黒田さんでさえ(調子の)悪いときがある。そのなかで勝つための方法を辛抱強く探すことが大事なんだ』と。1点を取られても、気持ちを切り替えて次の1点はやらない。考え方に余裕のある投球が、1年を通してできた。黒田がメジャーから広島に戻ってきて2年。野村に限らず、黒田の取り組みや考え方が、ほかの投手に浸透していった。その効果は大きかったと思います」

 続いて、”新井効果”についてはこう語った。

「入団の頃からずっと見てきましたけど、バッティングの内容も集中力も、今年が一番と思えるほど充実しています。なにより、人間的に素晴らしい男。周りの選手の対しても態度で示せるし、言葉も持っているから、若い選手にも普通に会話ができる。本当の意味で”真のリーダー”と言える存在でした」

 山崎氏が選手として台頭してきた80年代前半、チームには山本浩二、衣笠祥雄の大看板がいた。そして91年の優勝のときは、自身が中心となりチームを牽引した。しかし山崎氏は、新井のような立ち位置ではなかったという。

「僕は、言葉よりも背中で見せるタイプだったように思う。昔は、山本浩二さんたちのときもそうだったけど、中心選手と若手の間に距離がありました。だから、今の新井と若手たちの距離感を見ているとちょっとうらやましい(笑)。そのムードのよさが、戦いに出ています」

 当時と空気は違っても、ベテランと若手の融合が強さの条件であることは間違いない。

引用:webSportiva

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 さらに山崎氏は、「優勝するときは、意外性を持った選手の台頭が欠かせない」と言い、84年の優勝時は長島清幸、91年のときは代打から4番までこなし印象的な活躍を見せた西田真二の名前を挙げた。そして今年は── 。

「鈴木誠也ですよね。交流戦の活躍から一気に勢いがつきましたから」

 そして山崎氏は「あともうひとつ……」と言って、続けた。

「熱狂的なファンの応援も、チームを後押ししてくれました。だからこそ、日本シリーズは地元で胴上げを見せてほしい。91年はね、リーグ優勝のあと、広島市民球場でファンの見ている前でビールかけをやったんですよ。本当に忘れられない思い出です」

 この熱狂的なファンに支えられたカープは、チーム打率、本塁打、盗塁、防御率でリーグトップをマークし、本拠地で47勝18敗1分と圧倒的な強さを見せつけた。

 カープの底力をまざまざと見せつけ、手にした25年ぶりの歓喜。次なる目標である32年ぶりの日本一、そして地元での胴上げに向け、カープは新たな戦いへと挑んでいく。

引用:webSportiva

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