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1989年3月17日。
この世に生を受けたその日から確かにはじまったのは、小さな魔法使いの物語。
歩みつづけて2016年を迎えた彼は、27歳に。
香川真司。2016年3月17日、生誕27周年を祝して。
極東の島国からたったひとりでやってきた彼は、軽やかに舞いながら華麗で優雅な劇場の幕を上げた
おっとりとした口調。ヤンチャなイタズラっ子の活発さ。少年のように愛らしい童顔は、ひとりの男として生きる本人からすると喜ばしいとはいえないのかもしれないけれど、間違いなく個性であり魅力。
加えて、大柄なヨーロッパ諸国の人間たちにまじると、ひときわ小柄で華奢な体躯。
サッカー後進国である極東の島国から、たったひとりで海をわたり、大和と似た魂を宿す国に降り立った彼を、当初、誰もが訝しげにうかがった。母国、日出ずる国の人間たちですらも。
それがほんのひとときの誤解に過ぎなかったことは、今ではもう、誰もが知る語り草。
大柄な選手の間を、時に茶目っ気たっぷりに、時に驚くほど強気に力強く、軽やかに舞いながら華麗で優雅な劇場の幕を上げた彼が、サッカー大国・ドイツの心をつかむのは時間の問題だった。
時として、自国ドイツ人選手以上にドイツ人たちに心を寄せられる「愛されるために生まれたひと」
サッカーをこよなく愛することのみならず、成熟した民度を誇るドイツにわたったことが正解だったことを示す熱狂と歓待。
ドイツ人にはなかなかいないタイプとして惚れ込まれた彼に名づけられたニックネームは、以降、彼を象徴する代名詞になった。
「小さな魔法使い」
と同時に、よく笑い、よく憂う、繊細な感性をも愛されるのは、自然なことなのかもしれない。
時として、自国のドイツ人選手以上にドイツ人たちに心を寄せられるその様子は、彼の母国である日本の人間たちが喜びとともに不思議な気持ちにさせられるほど。
そう、香川真司は「愛されるために生まれたひと」だ。
迷いや戸惑いすらも隠せない不器用さ、確固たる意志の強さを宿す精悍な声がもつたまらない魅力
迷いや戸惑いすらも隠さない。正確には、隠したくても隠せない。そんな不器用さでひたむきに生きる彼は、誰もがシンパシーを感じる人間なのかもしれない。
「ギャップ萌え」という言葉が世に出まわって久しいけれど、彼の魅力もまさにそれ。そのものズバリとも呼べる強気と弱気が行き交う移ろいに心をつかまれるのだろう。「ギャップ萌え」にヤラれたといった具合に。
そうだ。彼の魅力の大きなひとつが、「イケメン声」と称される低く心地よく伸びる声だった。
まだその魅力に気づいていないひとは、ぜひ心を落ち着かせ、耳を澄ませてみてほしい。
屈託のないあどけない笑顔や、周囲をうかがう繊細な面持ちがトレードマークとして語られる彼のギャップとも呼べる、確固たる意志の強さを宿す精悍なその声に。
この世に生を受けたその日から確かにはじまった「小さな魔法使い」香川真司の物語を目にする幸せ
なかなか思い描くようにいかないこともある毎日の中で、彼は今、なにを想うだろう。
願わくば、迷いながら戸惑いながらも、自分を信じていてほしい。この世に生を受け、たいせつなご両親から「シンジ」という名を授けられたからこそ、「名は体を表す」そのものに、真実を司る意のままに。
そんな彼を、誰もが心から愛している。
そう、香川真司は「愛されるために生まれたひと」だから。
この世に生まれてきてくれてありがとう。「小さな魔法使い」と出会えた幸せに、たくさんのひとたちが感謝し、エールを送りながら後押ししていることがいつも伝わっているといいな、と願いつつ。
HAPPY 27th BIRTHDAY to SHINJI KAWAGA!!!!