記事内に商品プロモーションを含む場合があります
現地時間17日に開催予定だった国際親善試合ドイツVSオランダ戦は、昨日の更新で触れた通り、卑劣な行為により直前になって中止に。
https://blueazure.jp/sacchi/sports/germany-nederland-parisunderattack-2/15485/
ただ、今後も脈々と続いていくドイツサッカー界の総力をあげて、ドイツ代表チームおよびブンデスリーガの発展がさらに楽しみになったといえます。凛々しき世界王者、そしてフットボールは負けることがないのだから。
さて、パリ同時多発テロに遭遇する形となってしまったもう1チーム、ドイツ代表以上の憤りと悲しみを抱えることになった当事者、フランス代表チーム。
同日、こちらはイングランド代表との国際親善試合が予定されており世界中の注目を集めていましたが、予定通り開催。トリコロールに彩られたウェンブリーが美しく輝く歴史的な一夜になりました。
試合前から当日にかけて、各関係者の談話を交えてご紹介します。まずは、フランス代表を力強くサポートしたイングランド代表の顔として会見に臨んだウェイン・ルーニーの心強い宣言からどうぞ。
INDEX
- 【ゲキサカ】フランス戦へ、ルーニー「皆が団結する素晴らしい夜に」 「サッカーは人を団結させる」(配信日時:2015年11月17日 12:00)
- 【GOAL】フランス戦開催に踏み切ったFA「テロは勝てないと示すチャンス」(配信日時:2015年11月17日 13:17)
- 【GOAL】ウィリアム王子も観戦予定のフランス戦、イギリスは厳重な警備態勢 ホテルも「安全が最重要」(配信日時:2015年11月17日 12:49)
- 【ゲキサカ】ウェンブリーがトリコロールにライトアップ…テロに屈せず開催された一戦はイングランドが勝利(配信日時:2015年11月18日 10:19)
- 【GOAL】イングランドの支援に感謝するデシャン 「人々が一緒になっていると感じられた」(配信日時:2015年11月18日 17:20)
- サッカーファミリーは「自由と団結」の象徴。決意の一夜に輝いた鮮やかなトリコロールと共に
【ゲキサカ】フランス戦へ、ルーニー「皆が団結する素晴らしい夜に」 「サッカーは人を団結させる」(配信日時:2015年11月17日 12:00)
■フランス戦へ、ルーニー「皆が団結する素晴らしい夜に」 「サッカーは人を団結させる」(ゲキサカ)
「これこそサッカー界の総意であり、サッカー界の大いなる魅力では」と、心を震わされる素晴らしい言葉と想いにあふれた会見。
中でも、コチラが「サッカー界とはどのような存在なのか」「サッカー界の想いとは」を端的に表しているかと。
ルーニーは「フランスとの試合が行われるのは喜ばしいことだ。試合をすることで、フランスがテロに屈していないという姿勢を見せることができる。僕らもそれをサポートする必要がある」とコメント。
「僕ら皆が団結する素晴らしい夜になるだろう。テロリストに対し、世界がどう立ち向かっていくのかを示す時だ」
「ニュース映像を見たよ。胸クソが悪くなったし、悲しかった。サッカーは世界に貢献するものだし、皆が結束できるというところを示すものでもある。サッカーはそうするだけの力があるんだ」
「サッカー界もより結束していく必要がある。この状況に対し、皆が何らかの役割を果たしてくれると考えているよ。僕達選手、それからファンもどうするべきなのかわかっているはずだ。サッカーは人々を団結させる力がある」
グッとくるどころじゃない。冗談いっさい抜きで鳥肌が立ちました。「サッカーは世界に貢献するもの」。なんて力強い言葉と想いだろう。
では続いて、イングランドサッカー協会のマーティン・グレン氏の談話からうかがえる、フランス・イングランドがこの試合に賭けた想いを。
【GOAL】フランス戦開催に踏み切ったFA「テロは勝てないと示すチャンス」(配信日時:2015年11月17日 13:17)
■フランス戦開催に踏み切ったFA「テロは勝てないと示すチャンス」(GOAL)
サッカー界には「自由と団結」がよく似合う。あらためて実感させられた協力姿勢と在り方。「世界のすべてがこうだったら、争いはなくなるんじゃないか」とすら思わされたほど。
「我々は14日にフランスサッカー連盟と話し合い、フランス大統領府ともコンタクトを取った。試合を開催する条件は2つあった。イギリス当局と政府が安全を確保する必要がある。そしてフランスは試合を望んだ。主にシンボリックな理由から、彼らは前進することを望んだのだ。そして我々は、彼らの懸念に喜んで対応した」
「共に歩もう」。傷ついた仲間を癒しながら。時としてお互いがお互いに自然とそう在りながら。
これがサッカー界です。世界でたったひとつのフットボールという競技。それは、すべての笑顔を導くあふれんばかりのパワーを宿しています。
次に、当日に向けての体制はどうだったのか?
【GOAL】ウィリアム王子も観戦予定のフランス戦、イギリスは厳重な警備態勢 ホテルも「安全が最重要」(配信日時:2015年11月17日 12:49)
■ウィリアム王子も観戦予定のフランス戦、イギリスは厳重な警備態勢 ホテルも「安全が最重要」(GOAL)
「フランスへの連帯」を示す歴史的な国際親善試合とあって、ロンドン市長、ウィリアム王子の観戦も発表され、超厳戒態勢が整えられたウェンブリー。
もちろん、警戒が必要なのはホテルだけではない。パリでの事件では、犯行グループの1名がスタジアムに入場し、内部で自爆テロを実行する狙いだったとの疑いもある。『インデペンデント』などによると、ロンドン市長に加え、ウィリアム王子も「フランスへの連帯」を示すために試合を観戦する予定という。ウェンブリーの警備は最大レベルになるだろう。
『イブニング・スタンダード』によると、9万の観客が見込まれるウェンブリーでは、武装した警察が警備にあたるとのことだ。もちろん、入場ゲートではセキュリティーチェックが行われる。入場までに時間がかかることも予想され、イングランドサッカー協会はサポーターに早い来場をうながした。
なにがなんでも守りきるはっきりとした意志が感じられる体制は、これこそ国家をあげた断固とした意思表示。サッカーの母国ならではの毅然とした姿。
こうしてさまざまな関係者たちの想いの結集として開催されたイングランドVSフランス戦。結果は2-0でイングランド代表の勝利でしたが、勝敗は二の次三の次。
これ以上ない光を放つウェンブリーがそこにはありました。
【ゲキサカ】ウェンブリーがトリコロールにライトアップ…テロに屈せず開催された一戦はイングランドが勝利(配信日時:2015年11月18日 10:19)
■ウェンブリーがトリコロールにライトアップ…テロに屈せず開催された一戦はイングランドが勝利(ゲキサカ)
「なんて美しいんだろう」と、後から後から言葉と共に涙がこぼれてくる数々。
重厚な歴史をもつウェンブリー。多くの熱戦が繰り広げられてきたスタジアムですが、過去から未来を通してこれ以上はないだろう尊い時間を刻むことに。
13日にフランスで起こった同時多発テロの影響で中止の可能性があった一戦だったが、フランスサッカー連盟(FFF)とイングランドサッカー協会(FA)の話し合いの末に開催されることになった。トリコロールカラーにライトアップされたウェンブリースタジアムでは、試合前にフランス国歌を両サポーターが斉唱し、強い連帯を示した。
トリコロールに染まったウェンブリースタジアムに響いたフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」。実は周到な準備のもと実現されました。
■ウェンブリーで8万人のラ・マルセイエーズ斉唱へ ホジソンもフランス語で連帯示す(GOAL)
もう声高らかに誇りたくなる。「サッカー界ってこんなに素晴らしいんだよ。だからこの世界をずっとずっと愛してるんだよ」って。
こんなに「ずっと好きでよかった」と想ったことはないかもしれない、というほど、サッカーファミリーの愛情は地球を包み込むように暖かく尊く美しい。
幾度となくその素晴らしい世界に感動して泣かされてきたけれど、今、やっぱりあらためて想います。
フットボールは、人種も肌の色も貧富も言語も宗教も国境も、すべてを超え、手を取り合えるこの世でたったひとつのワールドワイドな競技である、と。
【GOAL】イングランドの支援に感謝するデシャン 「人々が一緒になっていると感じられた」(配信日時:2015年11月18日 17:20)
■イングランドの支援に感謝するデシャン 「人々が一緒になっていると感じられた」(GOAL)
歴史的な一夜を過ごしたフランス代表ディディエ・デシャン監督の試合後の談話が、まさに「フランスを代表した謝辞」にふさわしい、想いがあふれた率直なもの。
「声明や行動を通して連帯を示してくれたすべての人々に感謝したい。ウェンブリーの観客だけでなく、イングランドの国全体からのサポートに我々は心からの感謝を抱いている。悲しみを共有する瞬間を持てたのは素晴らしいことだった」
「非常に力強い感情を感じることができた。全員が一緒に歌ったときは、特別で力強い瞬間だった。感情の見せ方は人それぞれで、内に秘める者も外に出す者もいるが、あの瞬間には人々が一緒になっていると感じられた」
サッカーファミリーは「自由と団結」の象徴。決意の一夜に輝いた鮮やかなトリコロールと共に
今回、フランスは傷を負うことになり、記事中にもあるようにフランス代表ラッサナ・ディアラも親族が犠牲になりました。この現実はそうそう簡単に克服できるものではありません。
それでも、「自分がもしフランス代表の、フランス国民の立場なら」と考えたとき、ここまでされたらその想いと優しさに泣き崩れてしまうかもしれない。「自分のためにここまでしてくれた」という事実に。
加えて、イングランドのサポート体制はこれで終わりません。もちろん、フランス国内での団結も。「いかにサッカー界が歴史的な事件・事故・災害に敏感に想いを寄せているか」が理解できるかと。
■イングランドのフランスへの連帯続く プレミアリーグでも全試合前にフランス国歌(GOAL)
■パリSGがテロ犠牲者追悼ユニフォーム着用へ(ゲキサカ)
時は前に進みます。否が応でも毎日は過ぎてゆく。人間の愚かさが原因で無関係な人間たちばかりが傷を負う、混迷を極め続ける世界は今後どうしていったらいいのか?
それはきっとサッカー界の姿勢にすべての答えが存在している。そんなことすら想わされた歴史的な国際親善試合と今後の体制。
時は前に進みながら、時がすべてを癒やしてくれます。今はまだ前を向くことができない当事者たちが、いつかは顔をあげて前を向いて歩けますように。
その日まで、選手・監督・スタッフ・協会・ファンすべて含めてサッカーファミリーは、寄り添いながら歩み続ける。決意の一夜に輝いた鮮やかなトリコロールと共に。