【パリ同時多発テロ】凛々しきゲルマン魂の世界王者ドイツだからこそ可能にする誇り高き「自由と団結」

2014FIFAワールドカップブラジル大会で優勝し、ドイツに帰国後の凱旋パレードでサポーターと喜びあうドイツ代表

パリ同時多発テロの影響で一時は開催が危ぶまれていた国際親善試合ドイツVSオランダ戦。協議の結果、予定通り開催を決定。

アンゲラ・メルケル独首相の観戦も発表され、超厳戒体制で「テロに屈しない強い意志を示すドイツの姿が注目を集めた「本物の国際親善試合」。

ところが、卑劣な行為により、直前になってやむなく中止。チームも観客もセキュリティに守られながら事なきを得ることに。

翌日発表されたドイツ・オランダ両チームの代表声明を時系列でご紹介するとともに、今想うことを。

【GOAL】ドイツ戦の中止について オランダ協会ディレクターが声明を発表(配信日時:2015年11月18日 14:40)

 17日に行われる予定だったドイツ対オランダの国際親善試合は、直前になって中止が発表された。「テロには屈しない」を合言葉に、試合の開催を目指した両国だったが、「セキュリティー上の問題」から中止となった。

 オランダサッカー協会(KNVB)とドイツサッカー協会は一丸となって、試合の開催を目指した。試合会場へ向かっているバスの中で中止の一方を受けたというKNVBのディレクターであるベルト・ファン・オーストフェーン氏が、無念のコメントを発表している。

「試合が行えないことが明確になった。私たちはプレーしたかった。この状況に対するシンボルになり、声明を発表したかった。だが、それは実現できなかった」

「中止の決定は、スタジアムに向かうバスの中で聞いた。理由について、私からは何も言うことができない。ドイツ警察の決定だからね」

 具体的な爆破計画があり、スタジアムで不審なスーツケースが見つかったことで、試合は中止されたという。試合中止決定後の対応については、ファン・オーストフェーン氏は、ドイツの対応の良さを称賛した。

「ドイツ代表と同じく、私たちも安全に移動できた。私たち関係者への扱いを含め、この状況での対応は素晴らしかった。私たちは素早く判断し、ホテルを出ることにした。私はテロ対策のスペシャリストではないので、当局と一緒に動かなければいけなかった」

「私自身は恐怖を感じなかった。選手がどう感じたか? それは彼らに聞いてほしい。私たちは自分たちのやるべきことをしたまでだ」

 オランダ代表は無事に帰国。しかし、どのようにしてオランダまで戻ったかについては、「普段なら話せるが、今回は安全上の理由から明かせない」とファン・オーストフェーン氏は言う。

 17日にはベルギー対スペイン戦も中止になった。その一方で、イングランド代表とフランス代表は親善試合を行い、イングランドが2-0で勝利している。

 

引用:GOAL

 

【GOAL】「ドイツにとって、ドイツのサッカー界にとって悲しい日」 オランダ戦中止を嘆くDFB暫定会長(配信日時:2015年11月18日 22:52)

 最終的にはスタジアム周辺の不審物は爆発物とは確認されず、逮捕される人物もいなかった。しかし17日にハノーファーで開催される予定だったドイツ対オランダの国際親善試合の中止は、サッカー試合やイベントの安全性に対する考え方に影響を及ぼすだろう。

 ドイツ内務大臣トーマス・デメジエール氏は17日の夜に現地で開かれた会見で「中止の決断は簡単なものではなかった」と口を開いた。それから「本日のサッカー試合に対する脅威の兆候が強まっていたため、私は連邦の保安当局とともに人々の保護を理由に、国際親善試合の中止を強く忠告するに至りました」と決断を説明している。

 ドイツ『シュピーゲル』『ビルト』によると、フランスの情報機関がドイツ側に、「北アフリカ出身の名前が知られている人物とその団体が襲撃を画策している」と伝えたとのこと。だがデメジエール内相は会見で、「兆候の発信元や内容に関してはコメントを控えることを理解してほしい」と述べ、その情報を明かすことは今後の捜査、テロ対策に関わるものとした。

 同席したドイツサッカーリーグ(DFL)会長兼ドイツサッカー連盟(DFB)暫定会長のラインハルト・ラウバル氏は「ドイツにとって、ドイツのサッカー界にとって悲しい日」と話している。しかし、「どれほど辛くても本日の(試合中止の)決断を尊重し、関係者の皆さまに感謝します」と理解を示した。

 一方、13日のパリでの同時多発テロ事件に続き「我々のチームが4日間で2度もこのような悲しい出来事を経験することは今まで想像できませんでした」と語るラウバル氏は、今後のリーグ戦開催について次のようにも話している。

「考えることになるでしょう。私が受けた印象では、ドイツにおけるサッカーはこれらの出来事により一種のターニングポイントに達したかもしれません」

 ラウバル氏は会見後に『dpa通信』で、週末のブンデスリーガ次節について「マッチデーは開催されます」と強調した。オランダ戦の前にも、テロに屈しない姿勢を示すために試合は開催されるべきと関係者が口にしていた。しかし17日の試合中止の決断に続き、同日にハノーファー市内で開催予定だったコンサートなど多くのイベントなどがキャンセルとなっている。

 

引用:GOAL

 

テロに屈したことにはならない。尊い人命再優先の力強いジャッジメントが果たせた圧倒的な勝利

両チーム、とりわけドイツ代表チームおよび関係者にとって、こらえきれないさまざまな想いが交錯していることと察します。

それでも、わたしは「本当に無事で良かった」と。あえて声を大にしてでも伝えたい。国家間で手を取り合いながら、よくぞ速効性の情報連携・伝達により迅速な決断をしてくださったことを。

まさに「サッカーファミリー」の姿。

試合はいつでもできます。されど、命はたったひとつ。選手、そしてチームたいせつなひとりの人間であり、たいせつな集合体です。

今回の試合を中止にしたことがテロに屈したことになると?

なぜなると思う?なるわけがない。冷静に対処すればするほど、イコール鮮やかに危険と混乱を回避し、被害ゼロで尊い人命再優先の力強いジャッジメントが果たせたということ。つまり「圧倒的な勝利」です。

 

凛々しきゲルマン魂の世界王者ドイツだからこそ可能にする誇り高き「自由と団結」

フットボールは、人種も肌の色も貧富も言語も宗教も国境も、すべてを超え、手を取り合えるこの世でたったひとつのワールドワイドな競技。

世界中の選手、関係者のみなさんには、自らが属するこの競技が他の競技にはどうやっても到達できない領域に存在するという事実を、もっともっと胸を張って誇りにしていただきたい。

フットボールは絶対に負けない。テロと真っ向から闘うことだけが勝利ではない。笑顔を導けるフットボールで、愛情で包まれた世界を願う多くのひとたちの恐れる心を解きほぐし魅せること。

それは世界王者ドイツにだからこそ課せられた使命では?悲壮感とは無縁であり、卑劣さの対極に位置する、凛々しきゲルマン魂のフットボーラーたちだからこそ成し得る命題。

世界王者ドイツのその姿に呼応するように、欧州列国の各ナショナルチームをはじめ、世界中のフットボーラーたちが「自由と団結」で誇り高くつながる景色。

ドイツにおけるサッカーはこれらの出来事により一種のターニングポイントに達した」のは、力強い新たな美しい姿で魅せる序章に入ったから。

わたしの想いは、変わらずそのドイツ代表にあります。「自由と団結への勝負ははじまったばかり。顔上げて前向いていきましょう。

あなた方は世界王者です。世界の頂点に君臨するドイツに、恐れや嘆きは似合わない。ドイツサッカー界が新たに走りだすのであれば、シンパシーを感じながら共に走るひとで世界は溢れかえる。

Ich glaube Ihnen. Ich liebe Sie.