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レアル・マドリードのトップストライカー、クリスティアーノ・ロナウドとともに語り尽くされる存在といえば、バルセロナの絶対的エース、リオネル・メッシ。
先日、クリさんことロナウドのファンや社会への還元姿勢、取り組みを中心とした「成長し変化しつづける凄み」にフォーカスし取り上げました。
真のスーパースター!クリスティアーノ・ロナウドが富と名声を得ても成長したルーツ
同じようにレオ兄さんことメッシにも「成長し変化しつづける凄み」をその身に宿し、大変貌をとげた象徴的なエピソードが。
今回は、ロナウドを「ファンや社会への素晴らしい還元や取り組み」からご紹介したことに対し、「トップスターと呼ばれるプレイヤーとしての成長と信頼関係の構築」にフォーカスしたメッシの記事をご紹介します。
たまたま「ロナウド=ファン・社会還元」「メッシ=プレイヤー」というピックアップになりましたが、この両側面は彼らのどちらにも共通する成長過程であり、スーパースターになってなお進化した讃えられる真実です。
メッシ・ロナウドという、サッカー界の歴史上類を見ない二大スターと同時代に生きられること、その活躍をずっと見守りつづけられることへの幸せに感謝しつつ。ぜひ読んでみてください。
ヒミツは「マテ茶」にあり!
【スポーツナビ】史上最強トリデンテ“MSN”の絆 ピッチ内外で築いた確固たる信頼関係
昨季は3人で122得点を挙げる
昨季に6年ぶり史上2度目の三冠を獲得したバルセロナの象徴と言えば、リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールが形成する3トップだろう。
昨季を通してこの3人が積み重ねたゴール数は、スペイン史上最多記録を更新する122発に上る。その圧倒的な破壊力により、“MSN”の略称で親しまれる彼らは早くもフットボール史上最強のトリデンテと評されるまでに至った。
中でも約4カ月の出場停止によりデビューが大幅に遅れたにもかかわらず、メッシ、ネイマールの双方とお互いを生かし合う連動性を確立したスアレスの存在は、昨季の成功をもたらした重要な鍵の1つだと言える。
サミュエル・エトー、ティエリ・アンリ、ズラタン・イブラヒモビッチ、ボージャン・クルキッチ、ダビド・ビジャ、アレクシス・サンチェス――。バルセロナでは近年、そうそうたるストライカーたちが軒並み絶対的エースとして君臨するメッシとの共存に苦しんだ末、自身がより輝ける場を求めて他クラブへと移籍していった。
そんな中、なぜ昨季のバルセロナはシーズン途中のデビューとなったスアレスをスムーズにチーム組み込むことに成功しただけでなく、史上最強と呼ばれるほどに3トップの連携を高めることができたのか。
その理由を理解するためには、ピッチ内の現象だけでなく外側にも目を向ける必要がある。
引用:スポーツナビ
距離を縮めた「マテ茶タイム」
14年夏、バルセロナはメッシが懇意にしていた2人のチームメート、セスク・ファブレガスとホセ・マヌエル・ピントを放出した。さらに一昨季に獲得したネイマールの獲得オペレーションを巡る裁判が進むにつれ、クラブがさまざまな名目を付けてメッシの年俸をも上回る破格の報酬をネイマールと彼の父親に払っていたことが判明。結果としてメッシはフロントに対して強い不信感を抱くようになっていた。
そのためジョセップ・マリア・バルトメウ会長は、昨年夏に慌てて大幅な年俸アップを含む契約更新のオファーをメッシに申し出たのだが、この時メッシはある条件を提示した。ワールドクラスのセンターFWの補強である。
実際のところ、メッシが本当に望んでいたのは友人であるセルヒオ・アグエロの獲得だった。だがマンチェスター・シティが断固として交渉に応じなかったことで「クン(アグエロの愛称)」のバルセロナ移籍は実現不可能となり、メッシは失意とともにバルトメウに提案された他候補の獲得を渋々受け入れることになる。それがスアレスだった。
そのような経緯に加え、加入当時のスアレスは先にも述べた出場停止の真っただ中にあった。そんな選手の獲得に8000万ユーロ(約109億円)もの移籍金を払ったバルセロナの判断は高いリスクが伴うものだったわけだが、結果的には大当たりとなる。ピッチ上で結果が出るまでには多少の時間を要したものの、彼の加入はピッチ外でもチームに、何よりメッシに大きな影響を及ぼしたからだ。
「マテ茶が自分たちを結びつけたんだ」
後にスアレスが明かした通り、メッシとスアレスはアルゼンチンとウルグアイ共通の文化である「マテ茶タイム」を通して急速に距離を縮め、すぐに家族ぐるみで付き合う仲になった。
共にバルセロナ近郊の町ベラマルに居を構える2人は、今では練習後の昼下がりにどちらかの家に集まり、ハビエル・マスチェラーノも交えてマテ茶を囲むことを習慣としている。仲が良いのは本人たちだけでなく、スアレスの妻ソフィアはメッシの妻アントネージャの新たな“ママ友”となり、息子のチアゴ・メッシは同い年のベンハミン・スアレスが一緒に通い始めたことで、保育園に連れて行かれるたびに泣くことがなくなったという。
フロントへの不信を募らせ、友人との別れを悲しんでいたメッシにとって、公私にわたって理解し合える新たな友人スアレスの存在は、徐々に離れつつあった心をバルセロナに繋ぎ止めるだけでなく、再びこの町での生活に幸福を感じさせるきっかけになったのだ。
引用:スポーツナビ
チームプレーに徹するようになったメッシ
しかも、その効果は昨季の成功につながるターニングポイントとなった、1月4日のレアル・ソシエダ戦後に生じた、メッシとルイス・エンリケの衝突事件でも重要な役割を果たすことになる。
この日L・エンリケはメッシとネイマールをそろってベンチに温存するリスキーなローテーションを行った代償として、0−1で痛恨の黒星を喫してしまう。だが最大の問題は試合後のロッカールームで生じた。メッシが采配ミスを糾弾してL・エンリケと激しく口論を交わした上、翌日の練習を無断でサボるという背反行為まで犯してしまった。
この時メッシは周囲のフォローのおかげで本来受けるべき罰則を逃れただけでなく、兄貴分のマスチェラーノとダニエウ・アウベス、そしてピッチ内外で“女房役”となっていたスアレスから、自分がいかにチームにとって重要な存在であり、ピッチ上のリーダーとして仲間たちから信頼されているかを伝えられた。
そしてこの一件以降、メッシはピッチ上でいつになくリーダーシップを発揮するようになっただけでなく、まるで別人のようにエゴを殺してチームプレーに徹するようになったのである。
例えば5月2日のリーガ・エスパニョーラ第35節。当時クリスティアーノ・ロナウドと得点王を争っていたメッシは、コルドバに8−0と大勝したこの一戦にてハットトリックを達成するチャンスだったPKのキッカーをネイマールに譲った。なぜならその数分前、自身2ゴール目を決めた際にネイマールがこぼれ球を譲ってくれたからだ。
「あのことは忘れられない。レオは世界最高の選手であり、ハットトリックを達成できたというのに。言葉がないよ。ただ感謝するのみさ」
後にネイマールはこのシーンをそう振り返っているが、もしピチーチ賞(得点王)やゴールデンシュー、年間ゴール数の世界記録更新といった数字にこだわっていた数年前のメッシならば、あのPKも間違いなく自分で蹴っていたことだろう。
引用:スポーツナビ
ピケが3人の連帯意識を称賛
ジョセップ・グアルディオラが監督に就任して以降、バルセロナはメッシの能力を最大限に引き出すべく、メッシがプレーしやすい環境を整えることに力を注いできた。今もメッシを中心にチームが動いていること自体は変わらない。だがひたすらに周囲がメッシに気を遣いながらプレーしていた以前とは違い、昨季はメッシの方にも良い意味で周囲を頼る意識が出てきた。
以前のメッシは自分がゴールを決める、自分が試合を決めるという意識が強過ぎるがゆえに空回り気味のプレーに陥ることがしばしばあった。それが昨季はチームが勝つために必要なプレーを、その瞬間ごとに、自然に選択できるようになった。その結果、メッシに合わせる意識が強すぎて自分を殺してしまうことが多々あったチームメート、とりわけ3トップを形成するスアレスとネイマールの能力がこれまで以上に生かされるようになったのである。
メッシをピッチ内外で支えつつ、自身も虎視眈々(たんたん)とゴールを狙い続けるスアレス。2人の先輩クラック(名手)に支えられ、伸び伸びとプレーするネイマール。そして新たな相棒の加入に良い意味で影響を受け、精神面に加えてプレーの幅も一皮むけた感のあるメッシ。
これまでトリデンテと呼ばれる3選手をいくつも見てきたが、公私を問わずどの2人をとっても優れた補完関係で結ばれている3人のアタッカーは記憶にない。強いエゴを持つスター選手が3人も集まれば、誰かしらが何らかの我慢を受け入れることがなければ関係が成り立たないのが常だからだ。
昨季のチャンピオンズリーグ決勝の数日前、ジェラール・ピケがこんなことを言っていた。
「自分は7年間マンチェスター・ユナイテッドやバルセロナといったビッグクラブのロッカールームに身を置いてきたけれど、スアレス、メッシ、ネイマールたちのような関係は見たことがない。あらゆる選手にはエゴがある。しかも3人は世界最高レベルの選手であるにもかかわらず、特別なまでに親しい関係を築いているんだ。お互いを助け合う彼らの連帯意識はピッチ上にも反映されている。彼らの仲の良さは本当に特筆すべきものだよ」
バルセロナが誇るトリデンテの破壊力。それは3つの個の力がただ組み合わさっただけでなく、それぞれがそれぞれの良さを最大限に引き出そうとする連帯意識にこそ鍵がある。そしてその連帯意識は、サッカー選手として、チームメートとしてのリスペクトを超えた友情という確固たるベースの上に築かれたものなのである。
引用:スポーツナビ