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ユルゲン・クロップとドルトムントのラストマッチとなったドイツカップ決勝戦・ドルトムントVSヴォルフスブルク。
惜しくも準優勝という結果に終わった試合後の香川真司インタビューを交えた記事がアップされていました。香川選手の胸中がうかがえるグッとくる内容です。
ひとつ補足したいのが……どうもマンチェスター・ユナイテッド時代を「失敗だった。活躍できなかった」という方向の記事が多いな、と。「いや、それは違うでしょ」と思います。
サー・アレックス・ファーガソンがわざわざドイツに足を運んでまで請われ、指揮下で始動した1年目は間違いなく「これからも楽しみ!」というほど活躍したことをなかったことにするのはどうなんでしょう?不慣れなポジションだったにも関わらず。
しかも、いまだにユナイテッドサポーターから「また帰ってきて!」とラブコールを送られていることも事実。
日本人って自分自身を自虐するひとが多いけれど、勝手に人様のことまで自虐?他虐?するひとも多い。いらんことしなさんな。めんどくさいですよ(笑)。
さておき、これからのシンジカガーワが変わらず活躍を続けることがクロップも一番うれしいことでしょうね。もちろん今後の香川選手も楽しみにしています。
【SOCCER DIGEST Web】香川真司の脳裏に甦る恩師との3シーズン。「優勝したことが思い出。それで世界を知ることができた」
「歓声が凄くて(監督の言葉は)聞き取れなかった」
香川真司の脳裏に、様々な思い出が甦ってきた。7万5815人の超満員の観衆で、ぎっしり埋まったベルリンのオリンピアシュタディオン。その中央に、放心状態で立ち尽くした。すぐ傍では、優勝に沸くヴォルフスブルクの選手たちが、歓喜のダンスを踊っていた。
ちょうど5年前――。21歳だった2010年7月に、香川はセレッソ大阪からドルトムントに移籍した。同年の南アフリカ・ワールドカップのメンバー入りを逃し、まだ欧州では無名の香川を中心選手として使ってくれたのが、紛れもないユルゲン・クロップ監督だった。今季限りで退任が決まっている“恩人”のラストマッチは、ヴォルフスブルクとのDFB(ドイツ連盟)カップ決勝だった。
5分に香川のアシストからオーバメヤンのゴールで先制。ドルトムントは絶好のスタートを切りながら、その後すぐに前半だけで3失点。50分に、香川が伸ばした右足で当てたシュートは、わずかボール1個分だけ、ゴール右に逸れた。後半はヴォルフスブルクを押し込んだものの、再三のチャンスを活かせず、最終的には1-3の逆転負け。
勇退するクロップ監督を勝利で送り出すことはできなかった。香川の胸中は、悔しさで溢れていたに違いない。
試合終了後すぐ、香川はゆっくりと歩み寄ってきたクロップ監督と抱き合う。それだけで感極まり、涙が溢れ出そうになった。どんな言葉をかけられたかも、覚えていない。
「歓声が凄くて(監督の言葉は)聞き取れなかったです。これで最後になってしまうのでね。みんな、勝たせてあげたかったと思います」
「結果につながるゴールを決めたかった」
欧州に渡って1年目の10-11シーズンにブンデスリーガの頂点に立った。翌11-12シーズンには、リーグ2連覇とDFBカップの二冠を達成。欧州移籍わずか2年で、MVP級の活躍をした香川は、マンチェスター・ユナイテッドに移籍した。
しかしながら、2年シーズン在籍した“赤い悪魔”では、出番を得られない苦闘の日々が続いた。プレミアリーグの壁にぶつかり、昨年8月末にクロップ監督に呼び戻され、3シーズンぶりにドルトムントに復帰。香川を育てたのがクロップ監督なら、プレミアで挫折した香川を再生するために拾ってくれたのも、クロップ監督だった。
だからこそ、最後の決勝戦はどうしても勝ちたかった。
「個の力というか、勢いが向こうにありました。もう1点、前半の早い段階で取らなければいけなかったですし、あれ(攻撃)を続けることによって、精神的なダメージを与えなければいけなかった。でも、逆に(やりたいことを)向こうにやられてしまった。前半のうちに3失点してしまうのは、かなりキツかったです。相手の勢いもありましたし、うまさもあった。その中でもチャンスはあったんですけどね。やっぱり、それを決めきらないといけなかったと思います。そうですね、ああいうところを決めないと……、ですね」
取材エリアにはまだ、ヴォルフスブルクのサポーターの大歓声が響いている。香川は、消え入りそうな小さな声でそう言った。さらに、少しの間を置いて「結果につながるゴールを決めたかったです。負けてしまったんでね」と、つぶやいた。
それでも、クロップ監督の恩は、忘れることはない。今シーズンも、決して好調ではない時期でも、コンスタントに使い続けてくれたのだから。
「やっぱり優勝したことが思い出です。ヨーロッパに来て1年目、2年目にそういう経験をさせてもらった。それで世界を知ることができた。本当に良い経験をさせてもらいました。それもやっぱり、監督に信用してもらっていたからだと思う。本当に、感謝しています」
最後に、しっかりとした口調でそう話すと、香川はすっかり日が沈んだベルリンのスタジアムを去った。