気づけば、雑踏から路地裏へ。
気づけば、路地裏から雑踏へ。
そうして、気づけば、
いつのまにか立ちつくしていました。
歩を進めたら、少しでも。
想いが堰を切って、
とめどもなく溢れ出て止まらなくなるようで。
母という息吹は、
顔を出した芽である我が子を、
いざないながら流れるようで。
その実、
振り向けばいつもそこに在る、
時として不安で凍えそうな背中を温め、
包み込み慈しんでくれる、
たとえようもなく大きな大きなものなのかもしれません。
立ちつくしていた自分がいました、しばらくの間。
気づけば、こちらからそちらへ。
気づけば、そちらからこちらへ。
そうして、気づけば、
いつのまにか立ちつくしていました。
言葉を発したら、少しでも。
想いを共する瞬間が、
折れて散らばってしまうようで。
こちらからそちらへ。
自然とその中にいるかのような。
まるで、
すぐそばで、
同じ息吹を感じているかのような
目眩を起こさせる至福の物語。
母と息子の紡がれた瞬間の連なりは、
娘としてこの世に生を受けたわたしにとって、
「ボク」という存在に焼きもちを焼きたくなる、
切なくも美しい感傷をくれました。
What do you think?