そんな友人の言葉が、ふと頭をよぎったのが、
レンタル店でパッケージを目にした瞬間。
朴訥として、荒々しくもあり、
なのに、穏やかでたおやかで、
凛とした佇まいも見せるその海のような
深い風景に寄り添う役者陣の存在感が秀逸、
とも言える作品。
混沌、そして、殺伐とした現世に、
足をとめ、心に留め、
幾度となく反芻したい原風景が広がっています。
すべてのエピソードが、
ていねいにていねいに、
なにより、心温まる数々で綴られた物語。
自然と頬を伝う涙がどうしようもなく止められなかったのは、
この作品の持つ、包み込む空気そのもののせいかもしれません。
風景、空気感に、すべての役者陣が、
壊すことなく、まるでお互いを称えあうかのように共生していたのですが、
中でも、観終わったとき自分自身、
友人同様、主演の坂口憲二氏のファンになっていました。
難役を、その居住い、在り方含めて演じ切った事実に、
心から拍手を送ります。
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