魔法の呪文なんて存在しない世の中で、
それぞれが、みみず腫れの傷跡を抱えながら、
あきらめてみたり、
目をそらしてみたり、
衝動的な熱情と戯れてみたり、
あるいは、
惰性的な空虚を飼い慣らしてみたり。
社会的差別を受けがちなこの世界を、
「別世界」として片付け、
「自分の住む場所は違う」
そんな安堵感と必死に手をつなごうとする人がいるのならば、
それこそが幻想そのものな気がしてならない。
実は、社会の縮図そのもの。
差別意識が強い人ほど、
現実を知ったような顔をしながら、
幻想と妄想の世界に逃げ込もうと、
懸命に仕切りを立てまくる。
穴だらけの仕切りを。
独特の世界観を構築した芸達者な役者陣の中でも、
主演のおふたりがお見事。
男性と女性。
それぞれが持つ、
艶めかしく、且つ、艶やかな色気。
心酔…酔いしれる色気は、
崇高な芸術、とも言えるのでは、と。
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