暗闇に残された足跡は、
いくつかの時を経て、色彩の下へと誘われた。
その瞬間、仰いだ大空に舞い踊る雲は、
まるで猛々しく翼を広げた鷹のようだった。
鷹とは、父でもあるのかもしれない。
人によって、父というものの在り方は違う。
家族を飢えさせることなく、
そのために、企業という組織の中で、
出世という名の階段を昇ることに邁進する姿勢を見せることも、
ひとつの在り方だろう。
「マイホームパパ」という言葉が世に登場してから久しいが、
すべては、巣を守り、「幸福」という色で彩られた家族を想えばこそ。
そう。
すべては、愛する者のために。
では、順調に彩られていた幸福が、
ある時を境に、色を忘れ、暗闇の下へと誘われたら…。
その時こそ、父はどうするだろうか。
意志によって、それまでよりも、
もっと鮮やかな色彩の世界に足を踏み出すこともできる。
傷を負わない姿が、何も失わずにいる姿がかっこいいのではなく、
ボロボロになりながらも、無謀な挑戦になりながらも、
突き進む姿勢にこそ、鷹の翼は宿る。
愛する者のためにこそ、人は強くなり、人は幾重にも連なる。
人としての「基礎」を魅せてもらった一品。
こんな余韻が味わえることも、なによりの幸福。
それから。
主演である、岡田准一氏と堤真一氏が紡ぎだす空気は、
どうあっても他では紡ぎだせない、というすばらしい質のもの。
まさに、心から感嘆。
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