戦術ロビン・ファン・ペルシー【2日目】ワールドカップブラジル大会

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サッカーの母国・イングランドのプロサッカーリーグであるプレミアリーグ。世界のプロサッカーリーグの3本指に入ると言われている超強豪リーグですが、その中にあって名門中の名門チーム・マンチェスター・ユナイテッドのエースストライカーにまつわるこんな逸話がサポーターの間でささやかれています。

『戦術ロビン・ファン・ペルシー』

もちろん、賛辞と、そしてちょっとした苦笑いをもって。

現代サッカーにおいて最重要視される『戦術』

マンチェスター・ユナイテッドにおけるエースストライカーとは、オランダ代表チームのエースストライカーとしても活躍しているロビン・ファン・ペルシー選手。

では、『戦術ロビン・ファン・ペルシー』とは、一体どういうことか?

それをお話する前に、サッカーにおける『戦術』のお話からご紹介しましょう。

現代サッカーは『戦術ありき』といわれており、『戦術がすべて』というチームも多数。もちろんこれは、クラブチームでも代表チームでも変わりません。

戦術とは簡単に言ってしまうと、選手のポジションの位置取り(ポジショニング)、動き方などをすべてシステム化したもの。クラブチームや代表チームによって方向性があり、それによっていくつもの戦術を用意しています。

多彩な戦術をすべて覚えることも、サッカー選手の仕事。なぜならば、『戦術ありき』の現代サッカーにおいて、それができなくては当然のことながら仕事にならないため。よって、『サッカー選手は頭脳が長けていなくてはならない』とされるのは、システマチックな現代サッカーから評されていることです。



現代サッカーにおける『戦術』はチーム全体をシステム化するもの

また、クラブや国によっての戦術の違いおよびその変化と進化も、サッカー観戦の楽しみとされています。

先述の通り、まずベースとしてクラブや国の方向性があります。その上で、ピッチに立つ選手によって、あるいは対戦チームによって、微に入り細に入るように目まぐるしく展開される戦術の数々。世が情報化社会=システム社会へと進化した事実とまるで呼応するかのように、サッカーの世界も精密機械のようなシステムによって動いているのです。

つまり、現代サッカーにおける『戦術』とは、個の力のみに依存する真逆をいく、チーム全体をシステム化して闘うもの、といっても過言ではありません。

にも関わらず、あまりにも『個』の力が圧倒的に強いとどうなるか?

それをはからずも、そういう意図はなく具現化しているのが、『戦術ロビン・ファン・ペルシー』。



エースストライカーとしての飛びぬけた嗅覚が成せる技

チームをシステム化して闘う現代サッカーに逆行するかのように、圧倒的な『個』の力で局面を打開し、得点をあげ続ける。それが、ロビン・ファン・ペルシー。

可能にしているのは、エースストライカーとしての飛びぬけた嗅覚。頭で考えるよりも先に、体が動く。それは、才能そのものであり、磨きぬかれた英知の結集であり。

そんな彼を讃え、同時に、『戦術』として機能するよりもファン・ペルシー選手頼みなこともたびたび発生するマンチェスター・ユナイテッドの現状を嘆くように苦笑いとして、いつしかささやかれるようになったのが『戦術ロビン・ファン・ペルシー』なのです。



前回大会の決勝カードが今大会の初戦となったスペイン×オランダ戦

クラブチームの『戦術』になるほどの選手なだけに、今大会、その類まれな得点能力に注目が集まっていたのが、所属するオランダ代表チーム。しかも、大会初戦は前回大会の決勝カード。オランダが決勝の舞台で敗れた世界ランキングトップのスペインとの対戦。

否が応でも盛り上がる周囲の期待。サッカーの世界でたびたび使われる『屈辱を晴らす』というシチュエーション。表面上、「あくまでもひとつの試合であり、意識はしていない」と口々に答えるオランダの監督、選手たち。それでもやはり、インタビューの端々からあふれでる『前回大会の借りを返す』という想い。

事前予想では、圧倒的なスペイン優位。世界ランキングトップにつけられる評価は固く、どうひっくり返せるか?という周囲の見方とともにピッチに走りだしたオランダの選手たちは、見事に『前回大会の借りを返した』展開に。それも、劇的な大差での勝利という結果をもってして。

中でも、先制され我慢しながらじっくりと時を待ち、逆転への口火を切ったファン・ペルシー選手のゴールは豪快そのもの。豊かな体躯を活かしたダイビングヘッドは、まさに『ロビン・ファン・ペルシーここにあり』という存在感を示しました。



チームが劣勢なときほど結果を出すのがエースストライカー

エースストライカーとは、なによりも得点を期待されるポジション。そしてそれは、チームが劣勢なときほど、周囲がその存在に寄せる想い。ロビン・ファン・ペルシーのエースストライカーとしての証明が今大会もはじまりました。まず初戦、劣勢の中での逆転への狼煙として。

ゴールハンターとしてだけではなく、初戦で決めた豪快そのもののゴールが魅力のロビン・ファン・ペルシー。結果を出し続けるからこそ名づけられた『戦術ロビン・ファン・ペルシー』は、劣勢の局面にこそチームに勢いをつける希望のゴール。

チームが苦しむときこそ、どれだけの打開ができるか?

今大会のロビン・ファン・ペルシー選手のゴールハンターとしてのその姿、リスペクトを抱きながらとくとお見逃しなく。

OFFICIAL SITE:2014 FIFA World Cup Brazil